会話 · ジョイス・メシエ
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「もちろん… このまえは回答をためらってしまってごめんなさいね」女はガードケーブルの上から腕を伸ばし、手に取った写真をじっと見つめる…
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「ごめんなさい」それまで集中して沈黙を守っていた女が口をひらく。「それぞれの点… いいえ、星と星の関係を読み取れないかと思ったのだけど」そう言って、彼女は写真の“星”のひとつを指さす。
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「無理だった。けど、これはそうやって読み解くものだと思う。これらの点自体は文字でもなければ、番号でもない、たんなる“点”に過ぎない。でも、その大きさや体に刻まれている位置… そして、それぞれの距離によって、何を表わしているかは導き出せる」
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「夜空に浮かぶ星みたいなもんか?」
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「近いわ」女がうなずく。「これは港街… オランイェの水路地図を表わしている。300年前、ドロレス世紀の旅人たちが体に入れていたとされる、船乗りの刺青ね。彼らは自分が訪れた地を、こうやって自らの体に地図として記録していた」
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「かなりいろんな場所を訪れているみたいね。フレデフォート… つまり、オランイェの首都。“ここ”は昔から、右肩に彫るものとされている」女が写真上で、相当する点を指さす。「この近くのどこかで、彼の旅は始まったようね」
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「その後、スターズカナール… つまり、オクシデントを流れる人工水路ね。このスターズカナールと思われる場所を経由して、プレト・グランデを目指している… そしてプレト・グランデから船でインスリンデ海を渡っている。最初に降り立ったのがセメナイン諸島。そのあと、“ここ”を訪れている…」女が男の心臓を指さす。
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「レヴァショールよ」と女が言う。「このふたつの位置は昔から不変なの。肩がフレデフォートで、心臓がレヴァショール。この伝統は、インスリンデ発見直後… つまり、“イソラ間往来時代”の黎明期に始まったものなの」
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とあるオフィスの一室、緑色のデスクライトの明かりがついている。そこには、机に向かうひとりの男の姿がある。年齢は58歳で、頭ははげており、眼鏡をかけている… プトレマイオス・プライス警部だ。彼がつけている記録簿の横列には何日分、何週間分という日付が書き込まれており、1本だけある縦列には、“パトロール”、“事件担当”、“休暇”、“負傷”など、簡潔な記録がつけられている…
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警部はそのひとつに、“マルティネーズにて〈クレネル〉の調査中”と書き込むと、ペンを置き、こめかみを両手でさする。外では、ジャムロック地区らしくサイレンが鳴り響いており、遠くから銃声も聞こえている。
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「理にかなった見解だと思う。今日(こんにち)のわたしたちには、もう水路地図は必要ない。船乗りの需要にしても、昔とはちがってきているのと同じね。オクシデントの伝統は、こうして傭兵が入れるタトゥーに姿を変えたのよ」
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「あなたのなすべきことをなさい、刑事さん。わたし自身はあのタトゥーの解読よりも、公共の安全を優先すべきだと思うけれど、あなたが危険を承知で彼らに話を聞きたいというのなら… わたしにそれを止める権利はない」
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「あなたのなすべきことをなさい、デュボア警部補。わたし自身はあのタトゥーの解読よりも、公共の安全を優先すべきだと思うけれど、あなたが危険を承知で彼らに話を聞きたいというのなら… わたしにそれを止める権利はない」
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「その船乗りが外国で死んでしまった場合、これをたどって魂が故郷に帰るとされていた。この“地図”は彼らを祖国に連れ戻すための“仕掛け”だった… “シルバーコード(訳注:肉体と魂をつなぐとされる銀色のひも)”と呼ばれるものね」
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「そろそろ、アルカド諸島に差しかかったあたりかしら。インスリンデを抜けて、〈識域(ペイル)〉に突入するころね。わたしが彼の故郷の位置を正しく読み解けていればの話だけれど」そう言って、女はほほえむ。
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「これは大海に点在する港街… つまり、オランイェの水路地図よ。300年前、ドロレス世紀の旅人たちが体に入れていたとされる、船乗りの刺青ね。彼らは自分が訪れた地を、こうやって自らの体に地図として記録していたの」
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「花で描いた模様みたいなものか?」