「あら。だって、わたしたちは人間だもの。“おしゃべり”が好きな生き物なのよ… 当然のなりゆきでしょう。これ以上の詮索はしないでおくけれど、組合に関する情報をつかむことがあったら、そのときはお願いね」女が片眉をあげる。「彼らはわたしには何も話してくれないだろうから」
会話 · ジョイス・メシエ
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「あなたのこともよ、キツラギ警部補」女はキムのほうを向くと、こう強調する。「わたしたちは今、大変危機的な状況にある。でも、あなたたちなら、これ以上の犠牲者を出さないよう力を尽くしてくれると信じている。話し合いにすら応じてくれない組合とはちがってね」
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「あなた流に言うと…」女は突如、なんでもないことのようにその言葉を口にする。「“とんでもねえ失態を犯しちまった”という感じかしら。もちろん、わたしとしても悲しい知らせだった。でも、ここで立ち止まるわけにはいかない。状況をこれ以上悪化させるわけにはいかないの」
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「正気の沙汰と思えない」女がふたたびあなたに視線を戻す。「〈クレネル〉は1000人もの人員を雇っている。この次は20人からなる小隊とガンシップ1機が投入されることになる。さらにその次ともなれば、100人に膨れあがる」
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「彼らを一掃するつもりなら、〈クレネル〉だけでは足りないと思いますよ。〈ワイルド・パインズ〉はより上等な装備を施した兵を大勢投入しなくてはならなくなるでしょうね。判断を誤らぬよう、どうかご注意ください…」
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言ったところで何かが変わるのだろうか? この女の心はすでに決まっている。それも今今(いまいま)の話ではない。むしろ、このことを彼女に“伝える”か“伝えない”かの二択でしかなかった。そして、その選択はすでになされている。
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- (自分の手首を見る)「黙示録の時間だ。〈大いなる黄昏〉がやってくる」
- 「持てる戦力のすべてを集結させて、この地上からやつらを完全に消し去ればいい」
- 「労働者たちに港を明け渡すべきだ」記憶される · 1
- 「最初に訊いておきたい。俺の言葉に、あんたの決断を左右するほどの力はあるのか?」
- 「“頭”を潰しちまえばいい。一連の計画を推し進めているのはイヴラートなんだからな」
- 「こうした決断をくだすのはRCMの職務範囲外だ」
- 「こいつははったりだ。宣戦布告しろ。向こうから仕掛けさせて、どれくらい耐えられるものか見せてもらおうじゃないか」
- 「あんたの心はすでに決まってるんだろう? 聞かせてくれ」
- 「“ディスコ”な選択肢があればよかったんだがな」
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「彼の言うとおりよ。いつ勃発してもおかしくない、恐ろしい内戦がゆっくりと迫ってきているのだから。それは国家の破綻の幕あけ。黙示録なんて夢物語とはわけがちがう。ひたすら醜いだけの戦いになるでしょう」
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- 「ジャムロックでのハーブ取引から資金が流れてくるかぎり、彼らは倒れない。そして、こんなことは言いたくないけれど、それは忌々しいくらい長期にわたると予測される」
- 「彼の言うとおりよ。いつ勃発してもおかしくない、恐ろしい内戦がゆっくりと迫ってきているのだから。それは国家の破綻の幕あけ。黙示録なんて夢物語とはわけがちがう。ひたすら醜いだけの戦いになるでしょう」
- よく言うぜ、この女という人間そのものだ。
- 「ある種の“詩的”な側面が見出せるのは確かね。でも、“詩”と同じく、無益な案だと言わざるを得ない。イヴラート氏が消えても、またエドガー氏が残っている。ふたりはこうした可能性も織り込みずみなのよ。組合は彼らそのものであり、彼らはマルティネーズそのものということね」
- あるとも。この女には、余裕でそう決断できるだけの権限がある。そう口にしないだけで、相当な力を持っている人物であることは、かなりまえから明らかだ。
- 「そうね。あなたがたの仕事は“後始末をすること”だもの。しかも、近い将来、かなり大規模な“後始末”をすることになるでしょうね」
- 「〈大いなる黄昏〉など起こりはしない。いつ勃発してもおかしくない、恐ろしい内戦がゆっくりと迫ってきているだけよ。それは国家の破綻の幕あけになる。黙示録なんて夢物語とはわけがちがう。ひたすら醜いだけの戦いになる」
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風が吹く中、遠くで波が打ち寄せる音がしている。女は腕を組み、こう尋ねる。「あなたと“現実世界の究明”をする中で… このイソラがどうやって発見されたのかを語ったことはあったかしら?」
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「このイソラを植民地にした国々は、自分たちがもともといたイソラを“ムンディ”と呼んでいた。“ムンディ”とは“世界”を意味する。つまり、“ムンディ”は彼らが知る“世界”のすべてだった。それ以外の世界があるなんて、思ってもいなかった。そんな可能性を探ることは一種の“賭け”だったわけね。だって、それは“別世界”を見つけ出すこと… “死ののちの生”があると証明するようなものだったわけだから」
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「人々は〈識域(ペイル)〉を攻略不可能なもの、どこまでも無限に続いているものと考えていた」女は北西を指さす。「シュレーヌの女王、イレーヌ・ラ・ナヴィガトゥールは、立てつづけに8つの遠征隊を世界の果ての集塊の向こうへと送り出した。うち5つは戻ることなく、2つは帰還したものの、隊員たちはみな正気を失っていた」
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「第8次遠征隊は正気を保ったまま無事帰還し、彼らは物質として存在する新しい大陸の情報を持ち帰った。また、彼らは女王とその相談役であるドロレス・デイに、〈識域(ペイル)〉が日ごとに液化する様子についても報告した。毎時間、毎分ごとに“融けて”いるとね」
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女がうなずく。「その現象は二度と起こらなかった。船に乗っていた者たちはその時、幻覚を見ているのではないかと思ったそうよ。マスト担当の乗組員が““インスリンデ”! “インスリンデ”!”と叫んだ… つまり、目覚めを促す号令をかけたわけ」
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「でも、誰ひとり“目覚める”ことはできなかった。みな正気だったし、意識もはっきりしていたから。水平線に島々が現われる様子を全員が目の当たりにしていた。インスリンデ列島には7万8000もの無人島があるの、捜査官。“そばかす顔の神”と言われるゆえんね」女がほほえむ。
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「見事に“常識”が覆った瞬間だった」女がうなずく。「“世界に対する人類の常識”がね。2日目に、旗艦リゼルギークの上空でオオトウゾクカモメが撃ち落とされた。そして、その鳥は剥製として持ち帰られた。ついでに花粉も一緒にね」