「自分たちの発見したものがまったくの新種であることに気づいた彼らは、かぎりなく無音に近いと言われるペリカーナッシス文化の神の声にちなんで、それをコル・ド・マ・マ・ダクアと呼んだというわけ」
会話 · 暗示
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「でしょう。研究グループは徐々にその極小の鳥たちにのめり込んでいった。姿が見えなくても各個体を音波で聴き分けられるようになり…」レナはほほえむ。「ついには個体に“名前”までつけはじめた」
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「ほとんど無音。わたしたち人間にも、ほかのどんな動物にも聞こえないほどの高音なの。たとえ窓の外で音を出していたとしても、きっと何も感じないでしょうね! だからどこにでも、どんな場所にでも存在しうる…」
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「それには悲しい理由があるの」レナは眉根を寄せる。「ある大学生のグループが研究チームの野外調査に協力していたんだけど、プロジェクトへの熱意と、教授に自分たちを売り込もうと躍起になりすぎていたせいで、マ・マ・ダクアを絶滅に追い込みかけたことがあって」
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レナは重々しくうなずく。「大学生たちはその生物とコミュニケーションを図ろうとしたものの、音を使うしか方法がなかった。そこで、マ・マ・ダクアのものと一致するであろう周波数の音波を探りつつ、彼らに向けて放射しはじめたの。同じ周波数の音波同士がぶつかったとき、何が起こるか知ってる?」
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- 「それはね、互いに打ち消し合うの。そんな実験が後先考えずにおこなわれ、大学生グループの放射する周波数がマ・マ・ダクアのものと一致した瞬間… マ・マ・ダクアの大部分が死滅した」
- 「…後先考えずに実行され、大学生グループが放射する周波数がマ・マ・ダクアのものと一致した瞬間… マ・マ・ダクアの大部分が死滅した」
- 「いいえ、互いに打ち消し合うの。そんな実験が後先考えずにおこなわれ、大学生グループの放射する周波数がマ・マ・ダクアのものと一致した瞬間… マ・マ・ダクアの大部分が死滅した」
- 「そのとおり… そんな試みが後先考えずにおこなわれ、大学生グループの放射する周波数がマ・マ・ダクアのものと一致した瞬間… マ・マ・ダクアの大部分が死滅した」
「そのあと、残ったマ・マ・ダクアたちは別の場所へ去ったらしい。それ以降もイーアで観測されたものと同じ音波が記録されることがあるけど… ほんとうに、ごくまれにしか報告がない。安定したコル・ド・マ・マ・ダクアの個体群を確認することは不可能になってしまった」
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「別に見えないけど。これは物理学の基本… いえ、気を悪くしたらごめんなさいね…」レナは一瞬慌てたように見え、その眼に謝罪の気持ちがあふれるが、すぐに気を取り直す。「とにかく、そんな彼らの試みは…」
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「もっとも、“低く”の部分はちょっと皮肉ね。コル・ド・マ・マ・ダクアが発している、あるいはその正体である音は、人間を含むほかの動物には聞こえないほど高い音なの。だから、いつどこにでも存在しうるけど、わたしたちには気づきようがない」
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「いるかもね」レナは穏やかに言う。「さっきも言ったとおり、“どこにでも”いる可能性はあるけれど、人間にわかるのはそれくらい。わたしたちの生活が昼も、そして“夜”もその音で満たされていることだってありえる」
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「名前は“コル・ド・マ・マ・ダクア”」彼女は眼鏡の位置を直す。「意味は“かすかなささやき”。自己増幅する音波や、その不可視性と非実体性を“正確に”表わしてる! コル・ド・マ・マは人間をとても警戒するから、正体を突き止めるのはほぼ不可能だけど…」
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「8つ眼のテラトルン、これまでに発見された中で最大の鳥類。翼開長は11.5メートル。かつては3500年前に絶滅したと考えられていて、“化石”を偽物と疑った人たちもいた。あるいはたんなる突然変異だとも言われた。ところが…」