会話 · ドロレス・デイ
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「言っておくが、俺は警察官だぞ。アカデミーだかなんだかで働くのとちがって、決して楽な仕事じゃない」
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女が首を横に振る。「わたしはごくふつうの人間よ、ハリー。このガウンとリースの下にあるのは、ごくふつうの魂と思考だけ。わたしに非人間的なところがあるとすれば、“これ”だけ…」女が周囲を見まわす。
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- 「おまえが妊娠してることは許すし、受け止められる。ただ…」
- 「俺にはまだ、おまえの肺を光らせることができる。おまえさえ、それを許してくれれば」
- 「新種の生き物を発見したんだ… おまえにちなんだ名前をつけることにする。“ドロレスナナフシ”だ。おまえと同じように美しく、白い頭をしている」
- 「なら、俺がおまえを“特別”にしてやる。その肺を光らせ、おまえを永遠の存在にしてみせる」
- 「俺の知性を使って、“光の神殿”を建ててやる。想像を絶するくらいのどでかい神殿をな。こいつは前人未到の偉業になるぞ。コンピューターを使って建てるつもりだ」
- 「おまえの言うとおりだ。おまえは光る肺を持っていない。おまえには不釣り合いだ」
- 「けど、それじゃあ、この会話のすべてが無意味じゃないか」
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- そんなことは無理だ。この女をまともに泣かせることもできないのだから。
- 「そうよ… わたしの至福ともいえるミローヴァへの… あなたからもレヴァショールからも遠く離れた彼方の地への、夢のような空の旅に出るのを遅らせているだけ」
- 「ああ、ハリー… 人間が永遠に生きられる方法なんて、ひとつしかない… でも、あなたはそれを叶えてくれなかった…」女が首を横に振る。
- 「ハリー… あなたに許してもらう必要なんてない。これはわたしにとって、いいことなの」女がほほえむ。「いい知らせなのに、どうしてもっと笑ってくれないの?」
- 「不滅の“光の神殿”を? すてき。ぜひ誰かにわたしのための神殿を建ててほしい。これを拒む人間なんている? でも、あなたには建ててほしくない。あなたからは何も受け取りたくない」
- 「なんだかニュースになりそう… 悪いけど、そんなの御免だわ」沈黙。「そんな名前はつけてほしくない。あなたが新種の生き物を発見したからって、なんにもならない。ほかの誰かが新しい生物を発見して、わたしにちなんだ名前をつけてくれたのなら光栄だけど、あなたはお断わり」
- おまえにはこの女の肺を光らせることはできなかった。泣かせただけだ。今となっては、それすらできるか怪しいな。
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「やめて、ハリー…」ガウンが女の四肢のまわりで水のように動いている。「あなたが何を言ってるのかわからない。みじめで恐ろしい人。かつてあなただったものが、煙のような亡霊となって現われたみたい」
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「新種の生き物を発見したんだ… おまえにちなんだ名前をつけることにする。おまえと同じように美しく、白い頭をしている。“ドーラエンシス”と名づけることにする」
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「なんだかニュースになりそう… 悪いけど、そんなの御免だわ」沈黙。「そんな名前はつけてほしくない。あなたが新種の生き物を発見したからって、なんにもならない。ほかの誰かが新しい生物を発見して、わたしにちなんだ名前をつけてくれたのなら光栄だけど、あなたはお断わり」
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「あなたがそう言うことで、わたしがどれだけ傷つくかわかってる?」女が怒りを露わにする。「“俺はくそだ、おまえが俺をくそにしたんだ…”。こんなのもうたくさん。これ以上あなたを最低な異常者にはできない。それでわたしが悪者にされるなんて、御免だもの。もう行かなきゃ…」
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完敗だ。完全に私たちの負けだ、ハリー。おまえはいつだって無力で、倫理主義者だったことなんて一度もない… 何者でもなかったんだ。もはや“精神病者”にも、“くそ”にもなれない。おまえは“無”だ。光と愛の加護を失ったおまえは“無”でしかない。
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「なんせ、俺は倫理主義者だからな。ほかの倫理主義者たちに飛行船で連れ去られるところだった! 俺はもう、おまえがいなきゃ生きていけないような、ぶっ壊れた狂人じゃない。自分の過ちにも気がついて、そのすべての責任を取った。だから、おまえが望むなら、また一緒に暮らしてもいい。俺は回復した」