会話 · コール・ミー・マニャーナ
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「いや」男はそう言って、しばし考え込む。「自分が共産主義者だとは思わない。価値のあるものを見出したり、“すべてを自分のものにしたい”と願うことは、もっと昔からある単純なものの考え方だ。そこに理屈らしい理屈なんかない…」
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「別に共産主義者に対して悪い印象は持ってないよ。彼らは尊敬に値する〈開拓者〉だ」男はフラスコ瓶の酒をひと口飲む。「高い分析力も持っているしね」(訳注:〈開拓者〉と〈開拓の牛飼い〉は同じもの)
「けど、僕には僕自身の規範が性に合ってる。その規範が僕と噛み合わなくなるか、あるいは僕自身がその規範から逸脱してしまったとき… そのときは、従うべき新しい規範を見つけるだろうね。共産主義も候補のひとつになるだろう」
こいつは自分というものをよくわかっている。地に足がついているというのか… 自分はおろか、他者にさえ、己の政治的な立ち位置を取りつくろったり、こと細かに説明したりする必要性を感じていない。
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現実の一部… もとい、存在しうるただひとつの現実として思想を語るほうが、その曖昧な“本質”を語るよりも都合がいいのかもしれん。しかも、こいつはひとつも嘘をつくことなく、それを実践している。この男は事実、自分本位の穏健派だからな。
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「そうだね、そのことで議論を交わしたら、いろいろ厄介そうだ。せっかくの昼が台なしだよ。あれ、今って午後かな、それとも夜かな?」急に状況がわからなくなり、男は周囲を見まわす。「とにかく、協力してくれてありがとう」
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「そこは僕には判断できないね。まえも言ったけど、ボスからは非友好的なやつだって話を聞いただけから」男は頭にかぶったベレー帽に触れる。「そういうわけで、協力してくれてありがとう」
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親がつけた名前ではあるまい。どこかから取ってきたもののはず… アーティスト、犯罪者、革命家などがこういう偽名を使いがちだ。“nom de guerre”というやつだな。(訳注:この台詞における“nom de guerre”は“偽名”の意味)
「僕はメスク人じゃない。ヴァショール人(訳注:レヴァショールの“レ”を取った形)さ。でもね、実際のメスク人だって、メスク人らしい見た目をしてる者ばかりじゃない。現実に存在するものはどれも、きっちり型にはまってるものばかりじゃない… “思ってたのとちがう”なんて、よくあることだろう?」
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- 「nom de guerreだったら、“Guerra Mañana”を名乗っているよ」男がくすくすと笑う。そうして、彼はあることに気づく。(訳注:nom de guerreは“偽名”という意味だが、もともとは戦時中に使われた“戦争の名前”という意味。ここではその一語一語をメスク語(現実世界におけるスペイン語に相当すると思われる)に分解し、“戦争の名前”と解釈しての受け答えになっている模様。つまり、ストのことも踏まえて“Guerra Mañana”を日本語に置き換えると、“明日のための戦い”くらいに認識するのが妥当か)
- 「ほんとうの名前って、人々に呼ばれてる名前のことだと僕は思ってる」そこで男はあることに気がつく。