会話 · ジョイス・メシエ
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「ええ。ほかにどれだけの肩書きを持っていようとも、わたしが母親であることは変わらない。そして妻であることもね」女はいったん眼を閉じ、またあける。「さて… そろそろ“現実”の話に戻りましょうか」
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「当時のわたしたちに譲れない信念があったとはいえ、革命の際にスパイ行為や裏切り行為を働いてしまったことは悪かったと思ってる。そうしてあなたたちを“資本に仕える奴隷”にしてしまったことも。叶うなら、これからもお友達のままでいてちょうだい」
「わたしが鱗だらけの体をした悪魔であること、王殺しの罪を背負っていること、同性愛を擁護する立場にあることが発覚しても、お友達でいてくださるとうれしい。わたしたちとしても、主権を失うことになったのは想定外だった。それは断言できる」
「わたしが鱗だらけの体をした悪魔であること、そしてリベラルとして威圧的なまでの実績を積んでいることが発覚しても、お友達でいてくださるとうれしい。わたし自身としても、何もかもが完全に想定外だった」
「わたしが鱗だらけの体をした悪魔であることが発覚しても、お友達でいてくださるとうれしい。この場所を狂気の渦に陥れ、たくさんの人々に血を流させて、ここにあったはずの富も移動させてしまったけれど、赦してちょうだい。わたしたちとしても、それは完全に想定外だったの」
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「“And perswades them to addict themselues to his seruice...”(“そして“それ”は、己に仕えることこそが至上の快楽であることを、人々に教え込む…”)」
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「あら… 口でおっしゃるより、多くのことを覚えていらっしゃるのではなくて?」女がはにかんだような小さな笑みを見せる。「アルコールのせいで脳に損傷をきたしたというわりに、大したものだわ」
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「そう言っていただけるとうれしい」女は礼をしてみせる。「こんなふうにわたしの醜悪な本性が発覚しても、対等な友人同士でいられるといいのだけど。わたしたちウルトラリベラルは、王やコミューンに対して反感を抱いていたというわけではない。あれはたんなる“ビジネス”だったのよ」
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「そう言っていただけるとうれしい。わたしの立場をこうして知られてしまっても、友人関係を続けられるといいのだけど。あなたがたが命を懸けた革命で、スパイ行為や裏切り行為を働いてしまったけれど、それもどうか水に流してちょうだい」
「そう言っていただけるとうれしい」女は礼をする。「わたしの王殺しの罪と多文化主義がこうして発覚しても、対等な友人同士でいられるといいのだけど。わたしたちだって、最初から王を殺すつもりなんかなかった。それは断言できる」
「そう言っていただけるとうれしい」女は礼をする。「いろいろあったけれど、これからも対等な友人同士でいられることを願っている。でも、ひとつだけ。あなただって鏡を見つめたとき、怪物が見つめ返してくる立場の人間ではなくて?」
「そう言っていただけるとうれしい」女は礼をする。「とにかく、これからも対等な友人同士でいられるといいのだけど。忘れないで… たとえあなたが認めたくなくても、わたしたちは協力関係にある。罪を犯さずに生きられる人間なんていない、それは断言できる」
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「心が痛む」女は礼をする。「こんなふうにわたしの醜悪な本性が発覚しても、対等な友人同士でいられるといいのだけど。わたしたちウルトラリベラルは、王やコミューンに対して反感を抱いていたというわけではない。あれはたんなる“ビジネス”だったの」
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「心が痛む」女は礼をする。「わたしが“資本に仕える女教皇”のような存在であることがこうして発覚しても、対等な友人同士でいられるといいのだけど。どうか悪く思わないで… あれだって詰まるところ、たんなる“ビジネス”でしかなかったのだから」
「心が痛む」女は礼をする。「わたしの王殺しの罪と多文化主義がこうして発覚しても、対等な友人同士でいられるといいのだけど。わたしたちだって、最初から王を殺すつもりなんかなかった。その点はまちがいない」
「心が痛む」女は礼をする。「いろいろあったけれど、これからも対等な友人同士でいられることを願ってる。でも、ひとつだけ。あなただって鏡を見つめたとき、怪物が見つめ返してくる立場の人間ではなくて?」
「心が痛む」女は礼をする。「とにかく、これからも対等な友人同士でいられるといいのだけど。忘れないで… たとえあなたが認めたくなくても、わたしたちは協力関係にある。罪を犯さずに生きられる人間なんていない、それは断言できる」
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「あなたは“資本”という名の入植者に故郷を差し出せるほど、“リベラル思想”に染まっているの?」女はあなたの眼をまっすぐに見据える。「わたしにはそうは思えない。どう? ついにわたしは自分自身が何者かを明かしてみせた… わたしのことが怖くなった?」
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「わたしたちは、“資本”という名の入植者に国を売ったの。今やまともな精神状態の人間が、自ら“ウルトラリベラル”を名乗ることはなくなった。少なくとも、白昼堂々、名乗りをあげる者はいない」女はあなたの眼をまっすぐに見据える。「どう? ついにわたしは自分自身が何者かを明かしてみせた… 受け入れがたい事実だった?」
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「わたしたちは“資本”という名の海賊に国を売った。今やまともな精神状態の人間が、自ら“ウルトラリベラル”を名乗ることはなくなった。少なくとも、白昼堂々、名乗りをあげる者はいない」女はあなたの眼をまっすぐに見据える。「あなたは左派で、筋金入りの共産革命者だったわよね。どう? ついにわたしは自分自身が何者かを明かしてみせた… 受け入れがたい事実だった?」
「わたしたちは、“資本”という名の海賊に国を売ったの。今やまともな精神状態の人間が自ら“ウルトラリベラル”を名乗ることはなくなった。少なくとも、白昼堂々、名乗りを上げる者はいない」女はあなたの眼をまっすぐに見据える。「あなたはレヴァショール人の血を引く、本物の愛国者だったわよね。どう? ついにわたしは自分自身が何者かを明かしてみせた… 受け入れがたい事実だった?」
「わたしたちは、“資本”という名の海賊に国を売ったの。今やまともな精神状態の人間が自ら“ウルトラリベラル”を名乗ることはなくなった。少なくとも、白昼堂々、名乗りをあげる者はいない」女はあなたの眼をまっすぐに見据える。「わたしたちは互いによく似ている気がする… どう? ついにわたしは自分自身が何者かを明かしてみせた… わたしのことが怖くなった?」
「わたしたちがすでに絶滅したものと思ってらしたようね。今やまともな精神状態の人間が、自ら“ウルトラリベラル”を名乗ることはなくなった。少なくとも、白昼堂々、名乗りをあげる者はいない」女はあなたの眼をまっすぐに見据える。「あなたは中道派の心を持った、真の倫理主義者。どう? ついにわたしは自分自身が何者かを明かしてみせた… わたしのことが怖くなった?」
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「もう一度、この世界について教えてくれ」
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「“どういう世界”か?」色褪せた真珠のような瞳が海に向けられる。「存在しうる唯一の世界だと思うけれど… 物質からなる世界であり、そしてその対極に位置する〈識域(ペイル)〉が存在する世界…」
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「広大な水域に、森に覆われた地表… 都市があるところには光が群れをなしている。同じ“モンタージュ”をあなたも見たことがあるでしょう? 誰もが見たことのある光景… 世界はここひとつで充分よ」女が話を締めくくる。